RELATION relayTalk Project

RELATION Talk Pre Event

RTPpre関連コラム:何も発言しちゃいけないと思ってた。

■何も喋れない

ところが。
原発のこと、放射能のこと、政治のこと、風評のこと、知識が増えるたびに、わたしはどんどん発言しにくくなっていきました。
「東北では〜」「被災地では〜」「〜なんだって」「〜らしいよ」
そういう話を聞くたび話すたび、被災地と自分とがものすごい勢いで距離を隔てていくような気分になりました。

椅子に座っているだけで得られる情報しか話せることが無いなんて恥ずかしい/結局自分は東京にいて何もしていなくて情けない。わたしは「震災コンプレックス」に陥ってしまい、震災について沈黙するようになりました。何もしていない自分には話す権利は無いし、誰も自分に意見を求めない、と思いました。

■「RELATION RelayTalk Project」へ

そして、そんなやるせない状況を苦しんでいたところに友人に誘ってもらったのが、この「RELATION RelayTalk Project」でした。最初に結論を言うと、このイベントに参加して良かったです。なぜ良かったかと言うと、このイベントはわたしに話をする機会を与えてくれたからです。

まず最初に、地震の日の3月11日に自分が何をしていたのかを隣の席の人と話す時間が設けられて、驚きました。トークと聞いていたので、自分は完全に聞く立場だと思っていたからです。その後、「人によって色々な想いや形があると思うから」と、マイクを回してそれぞれの自分と震災との関わりについて発言する時間もありました。

また、トーク後の懇親会には、出版社の方、記者の方、学生など様々な方が出席していて、一人ずつ、ここに集まった理由を交えて自己紹介をしました。わたしは、自分が震災後に悲しいと思ったことや悔しいと思ったことを人前で話して、聞いてもらって相づちを打ってもらって、とても気持ちが良かったです。それまで「話してはいけない」と思っていたけど、わたしは「話してはいけない」と思ったことについて話してもいいんだな、ということに気がつきました。

■感じたことに、間違いなんてない
 
震災から4ヶ月経って初めて、素直な気持ちを共有することができました。もしかしたらみんな意外と、話し合う機会が足りていないのかも知れません。
どんなことを思っていても正解です。
どんなことを思っていてもそれが自分と震災の正しい関係です。
そのことを確認するために、ぜひ誰かに話を聞いてもらってください。

わたしは、このイベントでそれが叶いました。そして初めて、震災の話をする機会を渇望していたことに気が付きました。■

【執筆者プロフィール】

笠原 名々子(かさはら ななこ)


1989年生まれ。東京出身。武蔵野美術大学4年。ライター。
Facebookページにて「女子大生、復興と健康を考える」を運営中。 できるだけ多くの人に監査? というか見守って欲しいので、応援よろしくお願いします。悩んでる自分をコンテンツにする。

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